ジャージーボーイズ

ザ・ビートルズ以前に音楽業界を席巻したザ・フォー・シーズンズという実在した4人組の物語「ジャージーボーイズ」を鑑賞しました。




まず、映画の中で、実際に生で唄うなんて・・その完成度に驚きました。音楽映画として、これほどの完成度はすごい。




ドン底からスターになり、成功したのちに落ちてゆく……。原因はメンバー間の嫉妬や方向性の違いという、芸能界だけでなくどんな世界でもありがちなものですが・・。

劇中、登場人物がこちらに語りかけてくる手法で、巨匠イーストウッド監督は、観客を4人のそれぞれの心情に感情移入させてしまう。カメラワークでの見せ方やキャラクターの描き方が秀逸なのです。





たとえば、作曲家のボブ・コーディオをメンバーに入れる際、ボブがピアノを弾きながら歌っていたら、ヴァリが合いの手を入れるように歌いだし、残りの二人も楽器を演奏し始め、最後には店で演奏を聞いていた女客二人が自然と踊りを踊りだす演出など、コミカルでありながら拡張高い。思わずのせられ、魅せられてしまいます。





映画の挿入歌はどれも名曲。ステージでもテレビでも、4人のコーラスはごきげんです。ザ・フォー・シーズンズの4人のうち、3人は同舞台でも同じ役を演じた俳優なんですから。



特にトニー賞を獲得したフランキー役のジョン・ロイド・ヤングも素敵ですが、ニックの低音ボイスもズシンと響きます。

後年のロックの殿堂授賞式の久しぶりの再結成での、入口でのヴァリとトミーの和解、ステージ上でのメンバーの画面に語りかけるセリフ。

最後のエンドロールでの、薄暗い街灯の灯りの下で「シェリー」を歌うシーンから、今までの登場人物が皆出てきて、ニュージャージーの夜の街のセットで歌い踊るシーン。ギャング役のクリストファー・ウォーケンまでもが・・。




1960年代のスーパーグループの歌唱に酔いながら、不良少年だった4人の成功と挫折と友情に泣ける作品です。ぜひ。




いつも、訪れていただき感謝しています。