ジャンゴ 繋がれざる者

お正月の醍醐味の一つは、たっぷり映画が観れること。



私事だが、このところ、仕事やライブで忙しくて、12月のシネマ部はお休みし、映画が観れていない。くわえて、大作やヒット作は避け、エッジな作品を選んでしまうという最近の傾向。


晦日内田樹先生にお薦めいただいた、タランティーノ脚本賞を獲得し、イングロリアスバスターズや大人のけんかでその演技には定評がある賞金稼ぎ役のクリストフヴァルツがアカデミー助演男優賞を獲得した「ジャンゴ 繋がれざる者」、ブルーレイで鑑賞しました。








http://youtu.be/VYQDZ7ofEFA



南北戦争前の奴隷売買時代に賞金稼ぎが、助けた黒人奴隷と共に奴隷の妻を助ける為に非情な牧場主と対決するというシンプルな物語ですが、いつものB級タランティーノ節が各所で炸裂、文句なく楽しめる作品。







これでタランティーノ脚本賞を獲得し、イングロリアスバスターズや大人のけんかでその演技には定評がある賞金稼ぎ役のクリストフヴァルツはアカデミー助演男優賞を獲得。





南部の伝統的牧場主のデカプリオ、黒人でありながら黒人差別主義者の、サミュエル・L・ジャクソンの悪役ぶりも堂にはいっています。




いつもの様にチョイ役で出たと思ったら爆死するタランティーノはご愛嬌。





奴隷制度というアメリカ史のタブーに真っ正面から切り込みながら、笑いどころが満載で痛快なのがいかにもタランティーノ





なおかつ、主人公のひとり、クリストフヴァルツ扮する賞金稼ぎがドイツ人医師であることも、彼独特のアイロニーを感じるのは私だけでないと・・。





性的虐待のシーンがほとんどなく、捕らわれたジャンゴに対する、キャンディを殺された農園主側の最も残酷な復讐が、苛酷な鉱山労働という設定は、少し無理があるかな。若干、話の展開にご都合主義的な面もありますが、音楽、キャスティング、衣裳とすべてにタランテーノ・エッセンス満載、165分の長尺も一気に魅せてしまいます。ぜひ。








最後に、タランティーノ監督のインタビューを:



「奴隷のヒーローをマカロニ・ウエスタンのスタイルで撮りたいってアイデアは、10年以上前からもっていたんだ。最初の構想は、奴隷が賞金稼ぎになって白人を追うっていうものだった。南北戦争前の南部でね。そうなると西部劇じゃない、南部劇ってことになるんだけどさ(笑)。ただ、具体的にどんなストーリーにしたらいいかはずっとわからなかったんだ。ひらめいたのは、『イングロリアス・バスターズ』のプレスツアーで東京にいたときだ。日本ではレアなマカロニ・ウエスタンのサントラが山のようにゲットできるから、そのときも20枚くらい買って部屋でほくほくしながら聴いていた。そうしたら突然、映画のオープニングのシーンが浮かんできたんだよ」

「物議を醸す作品になるってことは最初からわかっていたし、一部の人たちからバッシングを受けることになるのもわかっていた。でもさ、勇気なくしてアートなんて成り立たないんだよ。リスクをとらないで何がアートかって俺は思うね。誰が俺の作品を気に入らなかろうが悪く言おうが、そんなことは気にしない。俺が気にするのは、それがエキサイティングなアドベンチャーかどうか、観客を喜ばせることができるかどうかってことだけだ。俺がいちばん望むのは、ラストで観客にウォー! ってエキサイトしてほしいってことなんだ」

「ジャンゴを動かすのは復しゅう心じゃない、愛なんだよ。このことを思うとき、俺は深作欣二監督の言葉を思い出すんだ。日本語の“仁義”って言葉は、英語には適した訳語がない。で、深作さんに聞いたら、こう答えてくれた。『仁義とは、やらなきゃならないことだ。たとえもしこの世でいちばんしたくないと思っていることだとしてもな』。この映画に照らし合わせると、ジャンゴはせっかく自由になってどんな人生でも選べるというのに、逃げてきたはずの地獄にまた舞い戻っていく。なぜかといえば、愛する女性が1分でも長く奴隷の身でいることに耐えられないから、それを看過したままで生きていくことはできないからだ。これこそ“仁義”そのものだよね!」