無の時間へようこそ

会社にいますと、1日に何人ものメーカーさんや商材屋さんが新たなパンフレットを持ち、訪ねて来られます。



電話もひっきりなし。今日一日だけでも新しい商品の紹介、厚労省の管轄の助成金の勧誘、Card決済の利率の割引の勧誘、iPadの機種変更の勧誘、ソーラーパネルの設置の勧誘などなど多種多様な分野での勧誘が後を絶たない。


職場だけでなく、自宅でも開封せねばならない封書やDMの山。テレビ、雑誌、パソコン媒体のWEBからも無数のメール情報が。



複雑に入り組んだ選択肢のメニューから、食べたい料理を選んだり、色とりどり、無数の洋服の中から、ベスト・マッチングな上下を選ぶ作業。



あるいは、携帯電話の契約条件、自身の身体に適したサプリメントや化粧品、状況に応じた自動車保険の選択などなど、現代人に課せられた「自由」という言葉に隠された「脅迫」めいた選択の数々。無数の選択肢の中から、最小限の予算、限られた時間、最良のピースを選び出す困難。



直接的な利益、メリット、有利な便宜、無駄の解消などのニンジンをぶら下げて情報や広告メッセージが湯水のごとくに押し寄せる。目にするもの全てから、無意識のうちに脳裏に刷り込まれる違和感や不安。


「 えっ、ご存じない?あなたは、これを知らないと大変なことになります。損をしますよ! 」と不安を煽り、情報でがんじがらめにして身動きを止めさせ、無理やり「Yes」を言わせるように仕向けてくる。


もちろん、すべてではないけれど…。


どれが有益で、どれが無益で、どれが害を及ぼすのか。取捨選択、識別判断することに慣れ切ってしまう。

休むことなく続け、疲弊し、精神は疲労困憊。投げやりになって、最後におかしくなる・・。


心の内面をみつめ、「 無」の状態を取り戻しませんか。



携帯電話もテレビもパソコンも消して、雑事を忘れ、スケジュール帳も何処かに置いておこう。ぽかん、ぽっかり、ぼっーとするひとときの時間。


それでも、すぐに現実に引き戻そうと脳が動き始める。何かをしなくては、こうしてはいられない、動き出せ…と。携帯電話はどこだ?読みかけの本は?WEBを開けないと。



忘れましょう…。




鼻から深く呼吸をする。これ以上ないほどに息を吸い込む。倍の速度でゆっくりと吐き出す。10回ほど続けてみてください。


首まで浸かった情報の海から、1度這い出してみる。


できれば、毎日。こういったリラックスの時間。静寂の時間を取ることは、脳や精神にとって、とても有効で、健康的な癒し。ほんの5分間が、永遠につながる。信じられないほど、永く感じるはず。




今、全てのモノが一瞬で手に入る時代に、人間の脳が必要としている糧。


ポーズのスウィッチを押すと、再びすべてが動き始める。

情報の海に、再び沈んで行く。



ふと、我に返り、PCに向かってこれを書いている自分に気づくのです。