極上のミステリー漫画「ラーメン食いてぇ」

フライパンでひとり、タマネギを炒めたりする。


キツネ色になるまで、焦がさないよう時間をかけて、ゆっくり混ぜながら炒めると、タマネギの持つ独特の甘みが凝縮されるのだ。この甘みが、フルーティな味わいを醸すのです。





カレーを作るプロセスですが、このあとニンニクやショウガ、ニンジンをすったりするのです。が、食べてくれる人の顔が浮かばないと作っていても楽しくない。料理は、「美味しい」といってくれる相手の顔が浮かんでこそ、作り甲斐もあるし、楽しくなる。


料理に込めた物語はたくさんあるけれど、最近、友人に教えていただいたネット上で無料で読める、林明輝さんの「ラーメン食いてぇ」という漫画がかなり素晴らしかった。

ラーメン?!とあなどるなかれ。その内容は、ラーメン屋を営んでいた作者の父からのこだわりの教え。情熱溢れる食への探究心が、そこかしこにちりばめられています。重厚な人間ドラマを内包しながらも、軽妙な語り口が非常に読みやすいタイプの作風。昨今のブームであるようなそこらのグルメ漫画とは全く次元が違う面白さなのです。

たった一杯のラーメンが持つ可能性をここまで壮大でドラマチックに表現する作者の才能は、極上のミステリーを感じさせます。

中国奥地の雄大な風景と群馬の一軒のラーメン屋との間を視点がめまぐるしく行き来し、物語上で果たしてどのように繋がっていくのか・・最後まで一気に読んでしまう作品です。ぜひ。


http://www.moae.jp/comic/ramenkuitee/1/1





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一杯のラーメンが、こんな3人を思わぬ形で結びつけ、変えていく・・。